中小企業のWeb担当者向けに解説するアフィリエイト広告の導入方法

この記事で紹介する「アフィリエイト」はブログに広告を掲載して収入を得る方法ではなく、企業のWeb担当者がサイトの集客を行うための流れを紹介しています。ECサイト運営者など法人向けに導入の解説をしてくれる人はあまりいないようなので書いてみました。

扱う商材や、会社での担当業務の幅によっては全てを理解して動かすのは難しいかもしれませんが、大まかな流れだけでも理解していただければ導入に向けて話が進められるかと思います。具体的な内容は資料請求を行った際、担当の営業から連絡があり、訪問して説明してもらえるので、気になる人は直接ASPにお問い合わせした方が事がスムーズに進むはずです。

Google広告 運用代行
- プロのサポートは必要ですか?
※別ウィンドウで開くので、あとで読めます。

目次

アフィリエイトとは

アフィリエイトとは「成果報酬型広告」のことで、ECサイトなら購入、サービス業ならお問い合わせや資料請求、体験の申し込みなど、設定した「成果」に繋がった時に「広告費」が発生する仕組みです。

アフィリエイトASPとは

モノを売りたい広告主とWebで収入を得たい掲載主をつなぐサービスです。
Affiliate Service Provider(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)の略で「ASP」と呼ぶ場合と、
Application Service Provider(アプリケーション・サービス・プロバイダ)の略にアフィリエイトを頭に付けて「アフィリエイトASP」と呼ぶこともあります。表記が揺れるのが気持ち悪いですが、なんとなくニュアンスで汲み取ってください。

ASPには一般的な個人ブロガーなどが自由に登録できるASPとは別で、有力な媒体運営者やアフィリエイト塾に加入している人など限られた掲載主だけが登録しているクローズドASPというのもあります。
クローズドASPは一般的なASPと比べて媒体数が少ないがジャンルに特化して媒体を運営している方と密な関係を持っているので、扱う商材や業種によっては成果が上がりやすいはずです。もし固定費をかけたくない場合はクローズドASPから始めると固定費0円で始められる可能性があります。

アフィリエイトと相性のいい業態や商材

基本的にアフィリエイト広告はBtoCのビジネスと相性が良いです。ECサイトの購入、病院やサロンの予約、企業のお問い合わせフォーム、Webサービスの登録などコンバージョンをカウントする仕組みを作ることができれば導入できます。
ASPによってはWebサービスに特化していたり、美容・健康に強いなど特色があります。
実際に成果につながりやすいサイトを運営している掲載主は、同一のジャンルの商品をまとめてサイトを作りたいと考えます。
その時の行動は、例えばASPの中で似たようなジャンルの商品を検索して、出てきた広告と全て提携を行います。
提携が完了したらリンク集を作るような感じです。媒体によっては各サービスの比較など充実したコンテンツを用意してくれます。
なので、あらかじめ適当なブログを作り掲載主としてASPのアカウントを作り、実際に競合他社や同一ジャンルの商品やサービスを扱っているASPから始めれば成果が上がりやすいはずです。
広告主として申し込んだ時にも、「他社の参考に掲載主としてアカウントを作成してください」と言われるので先に登録して様子を伺ってみるほうが良いかと思います。

実際にどのような媒体に広告が掲載されるのか?

ASPに登録している媒体は個人が運営しているブログから法人サイトまで幅広くあります。サイトの種類をジャンル分けすると以下のようなものがあります。

個人ブログ

誰でも簡単に投稿できるので運営者は多いが、投稿内容も雑多なブログが多く、1ページあたりの閲覧数が少ないので広告効果は期待できない。ASPに登録している媒体の多くは個人ブログで、記事の内容と関連性のないバナーを掲載していたり、マーケティングを理解していない人がほとんどと思っていいです。ただし「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」と言った感じで、侮れない感じもあります。
中には製品やサービスに真剣に興味を持って投稿してくれる人もいますが、ブログの記事の特性としてロングテールのアクセスは期待できないので、影響力のあるブロガーの投稿でも一時的な効力しかないと思っておいたほうがいいです。

コンテンツサイト

法人が運営している1つのテーマに沿ったコンテンツを持つサイトで、顧客属性やセグメントがはっきりしている。製品やサービスとのマッチングが良くないとバナーを掲載してもらえない。ある程度規模が大きくなったサイトはアフィリエイトではなく純広告に枠を切り替えていくので、サイトの数は少ない。

アフィリエイトサイト

広告を掲載するためだけに作られたサイトで、絞られたテーマの数十ページのテキストで構成される。検索で上位表示されやすいサイト構成なので、掲載主が見つかれば安定した売上が期待できます。
中にはペラサイトと呼ばれるLPへの誘導リンクのみの1ページで構成されるものもある。こう言った運営者はリスティング広告から集客するPPCアフィリエイトという手法を使っており、お店の前で看板を持って立っている人のような役割をすることで収益を上げています。

比較サイト

同一ジャンルの商品を集めて紹介するサイトで、競合商品の商標からの流入を誘導してもらえる可能性がある。商品を買う寸前で迷っている人がアクセスしてくるので良い効果が期待できる。当然ある程度市場のある製品やサービスでなければ掲載に至らない。こう言ったサイトはリスティングでの集客を行っているが、最近はYahooプロモーション広告の規約が厳しくなり風当たりが強い。

ポイントサイト

ユーザーにインセンティブを与えることでLPへの誘導や購入を促す。どのポイントサイトも莫大なユーザー数を抱えるので、万単位でのアクセスが期待できるが、購入につながるのは数件。1000円の商品を買ったら500円分のポイントをキャッシュバックするような販売方法になるので、リピート購入に繋がりにくいことが懸念されます。

メルマガサイト

ポイントサイトに付随するメルマガ配信を専門に行うサイトがほとんどを占めます。実際に掲載された内容を確認できないので、ブランドイメージなどきにする場合は提携しない方が安全です。

どのASPから始めればいいのか?

個人的にはA8.netから始めるのをお勧めします。業界の中でも規模が大きく、個人アフィリエイターから法人媒体まで掲載主が多いので、ただし固定費がかかるので商材の単価によっては償却が難しくなるかもしれません。割とニッチな商品で出稿しているのですが、初月はポイントサイトからの流入が多かったので5万クリック、その後落ち着いて4000クリックほどを毎月キープしているので、4万円程度の固定費から計算してもCPC 10円程度を目安にWebサイトへの集客が可能です。掲載主は複数のASPに登録していることが多いので、1社に絞ったほうが固定費の償却がしやすいです。
あと、A8.netは業界内でも注目されているので、その他のASPや広告代理店が新着プログラムをチェックして広告展開を広げようとしている企業を探して営業をかけてくることがあります。

掲載開始までの流れ

お問い合わせから掲載開始までスムーズに進めば最短2週間くらいで始めることができます。制作物の準備が滞ることがなければ契約を進めるのは作業的なものが多いので簡単ですが、重要なのは報酬額の料率設定など、会社から決裁をもらうための売上の試算になるかと思います。

・資料請求
・担当営業の訪問日の調整
・打ち合わせ
・サイトの審査
・バナーの提出
・トラッキングタグの設置/動作確認
・申し込み書の作成
・初期費用の支払い
・管理画面のID/PASS発行
・掲載主の募集、広告掲載開始

準備が必要な制作物

LP(ランディングページ)

アフィリエイトで掲載するためには、Webサイトのトップページや商品ページではなく、広告をクリックされた時に最初に表示するページを用意したほうが成果につながりやすいです。具体的には楽天の長ーい商品ページをイメージすると分かりやすいかもしれません。販売ランキングで上位の商品や競合他社のページを参考にしてみると良いかと思います。
取り扱う商材や業態によっては、薬事法や景品表示法などの決まりに沿ったページを作成しなければ掲載の審査が通りません。サイトのクオリティが低いとASPから門前払いをくらう場合もあります。ASPによっては具体的にどうしたら良くなるか相談にも乗ってくれるはずです。

画像バナー

LPに誘導するために、掲載されるバナーを数点用意する必要があります。他で広告を掲載していない場合は同じサイズのバナーでも複数用意してABテストを行い、より高いCTRで誘導できるバナーを作れるようにしなければなりません。

商品説明の紹介文

商品の概要、ターゲットの年齢層、など分かりやすく掲載主に伝える文章が必要になります。実際に提携や掲載をしてもらうために掲載主に伝えることができる部分はほぼここだけと思ってもいいくらい重要なものなので、掲載主としてのアカウントから他社の傾向を参考にしてみると良いかと思います。

トラッキングタグの設置

成果が発生した事をASPに送信するために、ECサイトの購入完了ページや、お問い合わせ完了ベージに、Javascriptやimgタグで作られたタグを設置する必要があります。サイトの制作を外注していたり社内に知識がない場合は確認しておかなければなりません。

掲載開始後の業務

プログラムがスタートするとASPのサイト内に掲載され、掲載主(アフィリエイター)の募集が始まります。
提携後に掲載主が広告を掲載し、クリックからの注文が発生します。
発生した注文を確認したら「承認」の作業の後「広告費」として計上されます。
掲載主が集まらない場合は報酬の見直しや、ASPサイト内への広告出稿など、ASPと相談して掲載主を集める事も大切です。

プログラム開始後に成果を最大限広げるためのアプローチ

ASPと契約するだけでも提携媒体は増える続けるのですが、成果を拡大するためにはアプローチが必要になります。

提携媒体数の増加

ASPサイト内への広告掲載でお金をかければ手っ取り早く増やせますが、ASPの担当者に相談することで、商材に合いそう媒体運営者に提携を斡旋してもらうこともできます。

稼働媒体の拡大や掲載枠の強化

提携するだけでは意味がなく、実際にサイトに掲載してもらわなければなりません。ASPの担当者を通じて掲載主にサンプルを配布したり、メルマガを配信することで掲載数を伸ばすことができます。サンプル配布やメルマガ配信で商品知識を持ってもらうことでて掲載ページのコンテンツが強化されます。

特別単価の設定

提携数や掲載数を増やすのに報酬の料率を上げる「特別単価」というものがあります。期間限定で料率を引き上げたり、優良媒体に特別単価を与えることで、よりクリックの発生する広告枠に掲載箇所を変えてもらったりすることができます。
また、特別単価を設定しなければ提携や掲載をしてもらえない媒体もあるので、目標CPAに余裕があればASPと相談してみてください。

ポイントサイトの掲載は許可するべきか?

ポイントサイトとは登録しているユーザーにポイントを付与する代わりに購入や申し込み促すサイトで、ユーザーはお小遣い稼ぎや、できるだけお得に買い物をしたい目的で利用しています。
掲載することで広告費(成果報酬)の負担が増えることはありませんが、ポイント付与することで値崩れが起こるのが懸念されます。とはいえポイントサイトに登録していないと安く買えないので、あまり気にしなくても大丈夫かもしれません。

クリックに対してポイントを付与している媒体もあるので、莫大なクリック数でもコンバージョンに繋がらなくて集計の数値がおかしく見えたりしますが、グロスで見るとコンバージョンは取れるので問題がなければ掲載を許可してみてはいかがでしょうか?

安売りにありがちなリピートの購入に繋がりにくいという問題もありますが、商品の認知を広げるのには役に立つかもしれません。

余談ですが、アクセス解析を見ていると大手企業のIPからのリファラを確認できたりするので仕事サボって見ているのかなぁとか思ったりします。

リスティングの制限ってしたほうがいいの?

もしYahoo!広告でスポンサードサーチ検索広告を運用している場合は制限をかけたほうがいいです。また商品の特性として、テレビ通販などWeb以外のプロモーションを積極的に行っている場合も制限をかけたほうがいいです。
アフィリエイターの中にはPPCアフィリエイトという手法で、商標で入札して広告をクリックさせ、間に入るだけで報酬を得る方がいます。具体的な手法はLPのファーストビューのスクリーンショットを貼り付けて、その下に「購入はこちら」というような誘導リンクだけのページを用意し、商標などのキーワードで検索からの流入を誘導しています。
2016年5月現在、スポンサードサーチの規約が厳しくなり、会社概要の表記がない場合は入稿審査が通らないようになってきてますが、法人として運用している場合は掲載可能だったりします。入札単価が吊り上げられる原因にもなるので、最低限でも社名や商標をNGワードとして指定しておいたほうが、提携解除や報酬の支払いを止めることができるので安全です。
Google広告に関しては規約が厳しくアフィリエイト誘導のみのサイトは審査が通らないので心配はありません。

いくつかのASPと契約をしてみて

実名を出してあんまり具体的なことを書くと怒られるかもしれないので軽く名前を伏せて実体験をお伝えしますが、とある商品の販売を拡大するために、同時期に5社ほどのASPと契約を進めていました。
A社については会社の規模もそこそこ大きいこともあり、契約の流れや運用担当への引き継ぎもスムーズで、商品があんまり売れないというこちら側の問題はあるものの、掲載自体は特に問題なく続いています。
A社と同時にスタートしたB社はA社の10分の1程度の規模でしかクリックが発生せず売上にもつながりませんでした。B社は契約担当の営業から運用担当者への引き継ぎが上手くいっておらず、プログラムがスタートした段階で放置状態が続きました。解約の希望を申し出たところで提携媒体の拡大や、掲載主へのサンプル配布などアプローチはしていただいたものの成果には繋がらず、最低契約期間の半年で解約に至りました。
広告代理店を通して掲載をスタートしたクローズドアフィリエイトのF社はB社に及ばないけど同等程度の規模ですが固定費がかからないこともあり、特に期待はせずに契約が続いています。
もう一つ別の広告代理店を通して契約を進めていたクローズドアフィリエイトのS社は、広告代理店側の担当者変更で頓挫しました。
クローズドアフィリエイトのR社に至っては契約書を送ってから連絡が途絶えると言うありえない状況です。
こちらから連絡しないのもアレですが、各社とも共通して言えるのは「忙しすぎて仕事が雑」という印象です。担当者によっての当たり外れや、取り扱ってる商品がものすごく売れ筋だったりすると状況は変わっていたかもしれませんが、これからどうにかしてWebで販売を広げようと思っている商品をお持ちの場合は、ASPにあまり過度な期待はしない方がいいかもしれません。

無言でも、シェアしてくれるだけで嬉しいです
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

石橋 敬太郎のアバター 石橋 敬太郎 AdRegion Inc. CEO

株式会社アドリージョン 代表取締役。私は「Web制作」「集客」「経営」の知識を、満遍なく持ったオールラウンダーです。デジタル・マーケティングの領域を中心に、スモールビジネスの宣伝に必要なすべてをワンストップでサポートするIT顧問サービスを提供しています。

少額の予算でも広告運用のプロがサポート
Google広告 運用代行

月額 17,600円(税込)の定額制コンサルティング!経営者様とタッグを組み圧倒的なスピード感で集客体制を構築します。

目次