BtoB企業のWeb広告を活用したマーケティング戦略

企業間取引の集客と言われると、テレマーケティングが主体だったり、DMや展示会などのオフライン展開を思い浮かべる方は多いかと思いますが、リスティング広告(検索広告)や、ディスプレイ広告(バナー広告)のリマーケティングを活用するなど、Web広告を取り入れる戦略もあります。

即効性を求めるなら検索広告に優先的に予算を割り当てた方が良い場合もありますが、競合が多く入札相場が予算に見合わなかったり、検討期間が長い分野の事業ならば、ディスプレイ広告を利用して中長期の広告戦略を組み立てた方が良いこともあります。

Google広告で設定可能な内容を中心にご紹介しておりますが、Yahoo!広告でも似たような事はできます。
「どのような事ができるのか」を把握して、Web広告を活用した集客戦略を練る参考にしていただければ幸いです。

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目次

ディスプレイ広告とは

まず最初に「ディスプレイ広告ってなに?」と思われる方もいるかと思うので簡単に説明です。

ディスプレイ広告は様々なサイトに表示されるバナー広告です。「ディスプレイ ネットワーク」と呼ばれる200万以上の媒体に配信されます。Google AdSenseを利用しているサイトの掲載枠や、モバイルアプリ内の広告枠、YouTubeなどのGoogleが持つ媒体が配信先の対象となります。

ディスプレイネットワークの頭文字に、Googleの頭文字を合わせ、「GDN」と呼ばれることもあります。ちなみにYahoo!広告なら「YDA(またはYDN)」です。(公式名称が変わっても名残で旧名称を使うこともあるのでややこしいです。笑)
全部ひっくるめて「バナー広告」と言ってしまった方がわかりやすいかもしれません。

要約すると、たくさんの媒体に広告を掲載することができ、それをコントロールするのがディスプレイ広告です。
基本的に「認知」を目的にする事が多いですが、使い方次第ではリード獲得にも活用することができます。

ユーザー属性とデバイス

まずは簡単でわかりやすいところで、広告配信の基本とも言えるユーザー属性の絞り込みはできます。年齢層や性別、地域などの設定があります。

個人情報に当たる部分は、Googleアカウントに登録されているデータ(またはGoogleの推測)によるものなので、「不明なユーザー」も発生します。地域についてもIPアドレスやGPSの位置情報から取得されるため、判別が曖昧な時もあります。

実際にユーザー属性を利用する時は、「職についていない可能性もあり決済権を持っていないであろう18-24歳は除外する。」「ボトムアップで選定されるサービスなら定年退職している65歳以上は除外する。」「トップダウンの可能性があるなら65歳以上の経営者は多いので除外しない。」といった考え方をします。

性別は「女性向けのサービスでも男性が決済権を持っている」またはその逆のパターンもあるので、あまり調整することはありません。

地域は、判定の曖昧さと併せて「その場所にいる人、もしくは最近そこにいた人」のような設定になるので、正確に狙った地域に配信できない前提にはなりますが、都道府県単位や対応可能エリアで絞るだけでなく、「製造業が多い郊外の地域」「スタートアップ企業が多い駅周辺」など、オフィス街の特色や土地柄を踏まえてピンポイントに狙う手もあります。

ユーザー属性やデバイスごとに、それぞれ入札単位を調整することもできるのですが、自動入札を利用することが多いディスプレイ広告では0%か100%(除外するかしないか)しか有効にならないので注意が必要です。

ターゲットに合わせた訴求まで考えるともうこれだけでお腹いっぱいになりそうです。
「まずは簡単で〜」と言いながら複雑ですね。シンプルなものほど奥が深いのです。この時点で難しいと感じるなら、迷わずご相談ください。笑

オーディエンス設計

ユーザー属性と併せて、次に考えるのがオーディエンスの興味関心です。Googleは各個人の検索履歴やサイトの閲覧履歴から、その人がどのような関心を持っていて、行動パターンから購買意欲の強いタイミングを機械学習で推測しています。
自分自身がどのような興味関心を持っていると判別されているかはGoogleアカウントの設定から見ることもできます。(トラッキングを拒否することもできます。)

指定できるオーディエンスは多岐にわたるので「設計」が重要になります。あまり深く考えず成果に繋がれば良いのですが、コンバージョンまでの動きが見えないとオーディエンス選定の沼にハマります。

コンバージョン重視でダイレクトレスポンスを期待する場合は、下記のオーディエンス設定を利用する事が多いです。

購買意向の強いセグメント

まず最初に確認するのはGoogleがプリセットしているオーディエンスに、自社の事業やサービスに合うものがあるか調べます。その中でも「購買意欲の強いユーザー」があれば、配信設定をして効果を試します。

購買意欲の強いユーザーに該当するものがない場合は、次のカスタムセグメントを利用します。

指定したキーワードを検索した人

カスタムセグメントでは特定のキーワードを検索したユーザーに広告を配信する設定ができます。検索広告のように検索語句ごとの成果を確認することはできないので、キーワードをしっかり選定してグルーピングする必要はあります。

検索広告の相場が高い時にも、ディスプレイ広告ならクリック単価が安く済むこともあります。コンバージョンに近いキーワードで即決されるようなサービスだと、ディスプレイ広告を見せるタイミングでは遅いかもしれませんが、検討期間が長く複数の会社から見積をとるようなサービスなら検討する価値は充分にあります。

競合サイトの類似ユーザー

カスタムセグメントのキーワード設定のように、URLを指定して、似たようなサイトを閲覧している人に広告を配信することができます。ここでの設定は、指定したサイトに配信できるのではないことと、「そのサイトに訪問した人」ではなく、「類似サイトを閲覧したユーザー」という括りになります。

(競合他社のサイトを閲覧している人に広告が配信できると勘違いしているケースが多いです。)

キーワードがわからなくても自社が取り扱っている製品のサイトや、競合他社のサイトのURLからターゲットを設定する事ができるニュアンスです。

似たような手法で特定のアプリを利用しているユーザーを設定することもあります。

オーディエンスの拡大

Google広告では、指定したオーディエンス設定を元に機械学習で成果に繋がりやすいと判断された時に、指定外のオーディエンスに配信を広げる仕組みがあります。除外しているオーディエンスには拡大されなかったり、リマーケティングの場合はリストの類似オーディエンスに拡げる補助的な動作になります。

設定した予算を使い切るための仕組みに感じることもありますが、しっかりとコンバージョンを取ってくる印象もあるので、特に理由がなければオンにして運用するのがおすすめです。

掲載先の選び方

オーディエンスの設定と併せて、掲載先のサイトを指定して広告を配信することができます。

最初はオーディエンスだけ指定して、実際に「広告が表示された場所」のデータを見て、配信先を絞り込んだり、除外設定やオーディエンスの再設計を検討する方が効率は良いです。

事前にリサーチの時間を取れるなら、特定のサイトを狙って配信してみてはいかがでしょうか?

プレースメント指定

普段見ているサイトで、広告の右上に「Ads by Google」と表記のある広告枠があれば、ドメインを指定してそのサイト全体に広告を配信する事ができます。ディレクトリが二回層目までなら特定のページを指定することもできます。
YouTubeチャンネルや広告枠のあるアプリを指定することもできます。

業界で参考にされやすいメディアや、検索で上位に表示されているブログ記事に広告枠があれば指定したり、競合他社のYouTubeチャンネルから自社サイトへの導線を作るようなこともできます。

プレースメント指定する場合は、1つのプレースメントに対して一つの広告グループで管理するか、準広告のような扱いで予算を管理するなら、専用のキャンペーンを作って組み立てると、効果検証もしやすくなります。

トピック

除外設定で補助的に使うことが多いですが、トピックの設定を利用すると特定分野のサイトに配信先を絞り込むことができます。BtoBでは関連性が低いゲームやエンタメ系のサイトは予め除外しておくと、無駄な広告費を削減することができます。

リマーケティング

ディスプレイ広告には、自社サイトに訪れた人に対して、他のサイトで広告を表示させて追いかけ、再訪問を促す「リマーケティング(またはリターゲティング)」という仕組みがあります。

Google広告の場合、設定した期間のアクセスのうち、100件以上のリストが有効になるとリマーケティングを利用できるようになります。

最初は自社サイト全体にアクセスした訪問者のリストを作り、アクセス規模に応じて7日から半年くらいの期間を設定して、一定額の予算で再訪問を促しつつ、得られたデータから次の手を考えるのも良いでしょう。

例えば、お問い合わせページを閲覧したけどコンバージョンに至らなかったユーザーを追いかけて、お問い合わせに繋げるもう一押しの訴求をしたり、コンバージョンのハードルを下げて、ホワイトペーパーのダウンロードを案内するなど、自社サイトのアクセス履歴をもとに再訪問を促すといっても、様々なアプローチが考えられます。

広告予算とキャンペーンの組み立て

実際にディスプレイ広告のキャンペーンを動かすとなると、ファネルを意識してキャンペーン構成を考える必要があります。
予算が潤沢にあるならばPRを兼ねて潜在層へのアプローチに多くの予算を割り当て、リマーケティングでコンバージョンを促すまで、いくつかの接点を作るキャンペーン構成も考えられます。
自社サイトのアクセスが一定数あり、予算が限られている場合は、リマーケティングのみを実施するだけの方が良い場合もあります。

全体の広告予算の10%程度をリマーケティングに割り当て、オーディエンスの拡大をオンにした状態で新規ユーザーに配信されない程度に再訪問ユーザーにアプローチできている状態を作ると、程よい予算配分になるかと思います。

効果検証

オンライン広告の効果は数字で測りやすいとは言え、近年ではサードパーティクッキーの廃止やトラッキング拒否の兼ね合いなどがあり、正確なデータが取りづらい側面もあります。

最低限でもお問い合わせ完了などのコンバージョンアクションは計測できるようにして、広告管理画面に反映できるように、コンバージョンタグの設置やアナリティクスとの連携をしておく必要はあります。

お問い合わせ完了を目標としていて、広告予算に対して目標の完了数が少ない場合は、お問い合わせページの閲覧などの中間地点にもコンバージョンを設定したり、直帰率など別の指標で広告の効果を測る手もあります。

また、ディスプレイ広告の性質として、認知を目的としていると最初のクリックではコンバージョンに直結しなかったり、リマーケティングで再訪問を促している場合は、ユーザーが自社を知る最初の接点がどこにあったのかわかりにくくなることもあります。

単純に広告だけで成果につなげようと考えるよりも、オフライン戦略や他の集客チャネルとの相乗効果を狙う方が、ディスプレイ広告を運用していく価値を高められるかと思います。

「打ち手」はわかっても、何から手をつけて、どのように効果を測り、PDCAサイクルを回すのかは、各企業の事業フェーズや広告予算によって様々な考え方があります。

もし、迷われる事があればお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

石橋 敬太郎のアバター 石橋 敬太郎 AdRegion Inc. CEO

株式会社アドリージョン 代表取締役。私は「Web制作」「集客」「経営」の知識を、満遍なく持ったオールラウンダーです。デジタル・マーケティングの領域を中心に、スモールビジネスの宣伝に必要なすべてをワンストップでサポートするIT顧問サービスを提供しています。

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